脇町、うだつの町並み。藍で栄えた、商家のまち
徳島県の北部、吉野川のほとりに広がる美馬市の脇町(わきまち)は、藍(あい)の集散地として栄えた、商家のまちです。「うだつが上がらない」という言葉の由来にもなった、富の象徴「うだつ」を高々と上げた町家が、通りに連なります。江戸から明治にかけての繁栄を今に伝える、しっとりとした脇町の町並みをご案内します。
立派なうだつは、商人の財力の証。脇町には、藍で財をなした人々の誇りが、屋根の上に今も掲げられています。
うだつとは|富の象徴、防火の壁
「うだつ」とは、隣の家との境に設けられた、屋根より一段高く張り出した小さな壁のことです。もともとは火災の延焼を防ぐためのものでしたが、装飾的にも凝った造りとなり、これを上げるには相応の費用がかかったことから、しだいに商家の富と格式の象徴となっていきました。財力がなければ立派なうだつは上げられない——ここから「うだつが上がらない」という言葉が生まれたといわれます。脇町の町並みには、漆喰や瓦で意匠を凝らした見事なうだつが数多く残り、商人たちが競い合った往時の繁栄ぶりがしのばれます。一軒ごとに異なるうだつを見比べながら歩くのも、楽しみのひとつです。
見どころ|藍の町を歩く
脇町には、藍商人たちの繁栄を伝える見どころが点在しています。江戸情緒あふれる町歩きが楽しめます。
- うだつの町並み— 約400メートルにわたり、商家が連なる通り。
- 吉田家住宅— 脇町で最大の藍商の屋敷を公開。
- オデオン座— 大正レトロな芝居小屋。映画の舞台にも。
町並みのなかでもひときわ目を引くのが、脇町最大の藍商だった吉田家の住宅です。母屋から土蔵まで、いくつもの建物が連なる広壮な屋敷は、藍がいかに大きな富を生んだかを物語ります。内部が公開されており、商家の暮らしや、藍取引の様子をしのぶことができます。また、大正時代に建てられた芝居小屋「オデオン座」は、レトロな佇まいが映画のロケ地にもなった名所。歴史ある建物が、今もまちの誇りとして大切に守られ、訪れる人を迎えています。
藍の繁栄と、まちの暮らし
脇町が栄えた背景には、徳島が誇る「阿波藍(あわあい)」の存在があります。吉野川の流域は、藍の原料となる蓼藍(たであい)の栽培に適しており、ここで作られた良質な藍染料は「阿波藍」として全国に出荷され、莫大な富を生みました。その集散地として、脇町は大いに栄えたのです。今も残る豪壮な藍商の屋敷は、当時の繁栄を物語ります。町並みのなかには、藍染め体験ができる施設や、古い建物を生かしたカフェ、雑貨店もあり、歴史散策とともに楽しめます。吉野川の悠々とした流れとあわせて、藍の歴史が息づくまちを、ゆっくり味わってみてください。
めぐり方と、アクセス
脇町へは、徳島市内から車や、JRとバスを乗り継いでアクセスします。うだつの町並みは約400メートルとコンパクトで、徒歩でゆっくりめぐれます。藍染め体験などは、施設に確認しておくと安心です。祖谷渓や、阿波踊りで知られる徳島市内とあわせて、徳島の歴史と文化をめぐる旅に、脇町を加えてみてください。江戸の商家町の風情が、心に残る旅になります。
旅のメモ
- エリア
- 徳島県美馬市脇町
- 見どころ
- うだつの町並み・吉田家住宅・オデオン座
- 歴史
- 阿波藍の集散地として繁栄
- あわせて
- 祖谷渓・徳島市内と