日本一の温泉県・大分。別府と由布院、二つの湯のまちを歩く
源泉の数、湧き出すお湯の量。そのどちらも日本一を誇るのが、大分県です。県内のいたるところで湯けむりが立ちのぼり、暮らしのすぐ隣に温泉がある。同じ大分でも、にぎやかで多彩な「別府」と、静けさに整う「由布院(湯布院)」では、湯の表情がまるで違います。今回は、この二つの湯のまちの歩き方を、現地の目線でご案内します。
大分の人にとって温泉は、特別な日のごちそうではなく、毎日のごはんのようなもの。だからこそ、肩肘張らずに本物の湯に出会えます。
別府|八つの湯のまち、湯けむりの迫力
別府の魅力は、なんといっても泉質の多様さです。「別府八湯」と呼ばれるように、エリアごとに性格の異なる温泉地が集まり、塩化物泉、炭酸水素塩泉、硫黄泉など、世界でも稀なほど多彩なお湯を一度の旅で楽しめます。坂の上から街を見下ろせば、あちこちから白い湯けむりが立ちのぼり、それだけで「温泉のまちに来た」と全身で実感できます。
「地獄」は入るのではなく、見て楽しむ
赤や青に色づく源泉を巡る「地獄めぐり」は、入浴ではなく観賞のための名所。自然の力をまざまざと感じたあとは、共同浴場(市営温泉)でさっぱりと。数百円で入れる地元の湯こそ、別府のいちばんの贅沢です。
由布院|由布岳を望み、静かに整う
別府から車で30分ほど山あいへ入ると、空気が変わります。由布院は、雄大な由布岳を背景に、田園と小さなギャラリー、上質な旅館が点在する落ち着いたまち。朝もやに包まれる金鱗湖のほとりを歩き、宿の露天風呂でゆっくりと過ごす——「にぎわい」ではなく「静けさ」を味わいに行く場所です。
湯めぐりを楽しむための、泉質と作法
温泉は、泉質によって肌ざわりも香りも違います。せっかくの大分、その日の気分で湯を選んでみてください。
- さっぱり爽快に— 単純温泉・塩化物泉。湯あたりしにくく、湯めぐり向き。
- しっとり美肌に— 炭酸水素塩泉(重曹泉)。肌がつるりと整う感覚。
- 体の芯から温めたい— 硫黄泉。香り高く、湯上がりがぽかぽか続く。
共同浴場は地元の方の生活の場でもあります。かけ湯で体を流してから入る、タオルは湯に浸けない、長湯のしすぎに注意——基本の作法を守れば、旅人も気持ちよく迎えてもらえます。
別府と由布院、二つの湯のまちの歴史
大分が「日本一の温泉県」と呼ばれるのは、火山活動の恵みによるものです。源泉の数も、湧き出す湯の量も全国一を誇り、県内のいたるところで湯けむりが立ちのぼります。別府は、明治以降に湯治場として大きく発展し、多彩な泉質を生かした「別府八湯」として、庶民にも親しまれてきました。一方の由布院は、かつては静かな農村でしたが、自然と調和した町づくりを地元の人々が長い時間をかけて進めたことで、落ち着いた人気の湯のまちへと育ちました。にぎやかな別府と、静かな由布院。対照的な二つの個性が、大分の温泉旅をいっそう豊かにしています。
共同浴場は数百円から入れるので、宿の湯と合わせて湯めぐりを楽しめます。湯けむりが映えるのは空気の澄む秋から冬。にぎやかな別府と静かな由布院を、両方泊まり比べるのが王道です。地獄めぐりや、くじゅう連山の自然とあわせて、大分の湯を心ゆくまで堪能してください。
旅のメモ
- エリア
- 大分県別府市/由布市湯布院町
- ベスト
- 通年(湯けむりが映えるのは空気の澄む秋〜冬)
- 巡り方
- にぎやかな別府+静かな由布院の組み合わせがおすすめ
- 予算
- 共同浴場は数百円〜。宿の日帰り入浴も充実