横手のかまくら

横手のかまくら。雪国に灯る、小正月の幻想風景

雪深い秋田の冬を、やわらかな灯がそっと照らします。横手(よこて)の「かまくら」は、450年もの歴史を持つ、小正月の伝統行事です。雪でつくった洞のなかに水神さまを祀り、子どもたちが「入ってたんせ」と声をかけ、甘酒やおもちでもてなしてくれる——雪国の人々のあたたかな心が息づく、冬の風物詩。雪と灯が織りなす幻想的な夜を、ご案内します。

「入ってたんせ、おがんでたんせ」——子どもたちの呼び声に誘われて、雪洞をくぐる。中には、ほのかな灯と、あたたかな甘酒が待っています。

かまくらとは|水神さまを祀る、小正月の行事

かまくらは、雪でつくった高さ三メートルほどのドーム状の洞で、その内部に水神さまを祀る祭壇を設けます。もともとは、豊かな水への感謝と、火の用心、五穀豊穣を願う小正月の行事として受け継がれてきました。中ではむしろが敷かれ、ろうそくの灯がやわらかく揺れ、子どもたちが餅を焼き、甘酒をふるまってくれます。訪れる人は、お賽銭をあげて水神さまに手を合わせ、そのもてなしに身も心もあたたまります。素朴で、どこか懐かしい、雪国ならではの夜です。

かまくらの灯
雪洞に灯るろうそくの光。横手の冬を彩る幻想風景。

見どころ|灯がともる、雪の夜

かまくらまつりは毎年2月に開かれ、市内のあちこちに大小のかまくらが立ち並びます。日が暮れると、いっせいに灯がともり、町全体がやわらかな光に包まれます。

  • 大かまくら— 中に入れる本格的なかまくら。子どもたちのもてなしも。
  • ミニかまくら— 河川敷などに無数に並ぶ、小さな雪洞の灯。圧巻の光景。
  • 甘酒・もち— かまくらの中でふるまわれる、心まであたたまる味。

会場は市内に点在し、横手公園や蛇の崎川原、ふれあいセンターかまくら館の周辺などが、主な見どころとなります。なかでも、二日間限定で河川敷に並ぶ数千ものミニかまくらは、日没とともにいっせいに灯がともり、見る者の言葉を奪うほどの幻想的な光景。寒さも忘れて、ただ見入ってしまいます。かまくら館では、本物のかまくらを一年を通して保存・展示しており、夏に訪れても、雪国の伝統に触れることができます。

かまくらの夜を、心ゆくまで

雪明かりに照らされた町を歩けば、ひとつひとつのかまくらから、子どもたちの声と灯がこぼれてきます。冷たい空気のなかで味わうあたたかな甘酒の甘さは、格別なもの。河川敷を埋めつくすミニかまくらの灯は、まるで地上に降りた星空のようで、思わず息をのむ美しさです。寒さは厳しくとも、人々のもてなしの心が、その寒さをやさしく溶かしてくれます。雪国で生きる人々の暮らしと祈りに、そっと触れられる夜です。

めぐり方と、アクセス

横手へは、秋田新幹線と在来線を乗り継ぎ、JR横手駅が拠点となります。かまくらまつりは毎年2月15日・16日が中心で、この時期にあわせて訪ねるのがおすすめです。冬の秋田は積雪も多く、冷え込みも厳しいため、防寒と滑りにくい靴の準備は欠かせません。横手やきそばなど、ご当地グルメとあわせて、雪国の冬の旅を楽しんでみてください。乳頭温泉郷などの名湯で体を温めるのも、冬の秋田の醍醐味です。

旅のメモ

エリア
秋田県横手市
見どころ
大かまくら・ミニかまくらの灯
時期
かまくらまつり 毎年2月15・16日
注意
積雪・防寒・滑りにくい靴を
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