世界遺産・百舌鳥古墳群。仁徳天皇陵と、ものづくりのまち堺
大阪・堺には、1600年もの昔に築かれた、世界最大級の墳墓があります。「百舌鳥(もず)・古市古墳群」として世界遺産に登録されたこの一帯は、古代日本の権力と技術の大きさを今に伝える、壮大な歴史遺産。なかでも、世界三大墳墓のひとつに数えられる仁徳天皇陵古墳のスケールは圧巻です。古墳と、ものづくりの伝統が息づく、堺の歴史をめぐります。
全長約500メートルの墳墓を、人の手だけで築いた——その事実の前に立つと、古代の人々の力と祈りに、ただ圧倒されます。
仁徳天皇陵古墳|世界最大級の墳墓
百舌鳥古墳群の中心が、仁徳天皇陵古墳(大仙陵古墳)です。前方後円墳という日本独特の形をしており、全長約500メートル、エジプトのピラミッドや中国の始皇帝陵と並ぶ、世界最大級の規模を誇ります。あまりに大きいため、地上からは全体像をとらえることが難しいほど。近くの市役所の展望ロビーや、堺市博物館の展示で、その全貌や築造の様子を知ることができます。緑に覆われた墳丘は、まるで森のよう。古代のロマンに、静かに思いを馳せられます。
ものづくりのまち・堺
堺は、中世に海外との交易で栄えた、自治都市としての歴史を持つ町です。その富を背景に、高度なものづくりの技が育まれました。今も受け継がれる伝統産業は、プロの料理人にも愛されています。
- 堺打刃物— 鋭い切れ味で名高い、料理人御用達の包丁。
- 線香— 全国有数の生産量を誇る、堺の伝統産業。
- 和菓子・昆布— 交易で栄えた町ならではの、食の文化。
なかでも堺打刃物は、刀鍛冶の伝統を受け継ぐ高度な鍛造技術に支えられ、その切れ味は世界中の料理人を魅了してきました。職人が一本ずつ手で鍛え、研ぎ上げる包丁は、まさに用の美。町なかの工房や刃物店では、職人の手仕事を間近に見たり、自分の手に合う一本を選んだりすることもできます。古墳という古代の遺産と、今に生きる職人の技。堺は、悠久の時を超えて、ものづくりの精神が脈々と受け継がれてきた町なのです。
千利休と、茶の湯のまち
堺は、茶の湯を大成した千利休(せんのりきゅう)や、歌人・与謝野晶子(よさのあきこ)を生んだ町でもあります。交易で栄えた堺の豪商たちのあいだで、茶の湯の文化が花開きました。「さかい利晶の杜」では、利休の茶の湯と、晶子の文学にまつわる展示を楽しめ、本格的な茶室で抹茶を味わうこともできます。歴史と文化が幾重にも重なる堺は、大阪のもうひとつの顔を見せてくれます。
めぐり方と、アクセス
百舌鳥古墳群へは、JR阪和線の百舌鳥駅や三国ヶ丘駅から徒歩圏内です。古墳のまわりは遊歩道が整備され、散策やサイクリングが楽しめます。堺の市街地へは、大阪市内から電車で20分ほどとアクセス良好。古墳めぐりと、ものづくり、茶の湯の文化をあわせて訪ねれば、半日から一日かけてじっくり楽しめます。にぎやかな道頓堀や大阪城とはまた違う、悠久の歴史が息づく堺へ、ぜひ足を運んでみてください。
旅のメモ
- エリア
- 大阪府堺市
- 見どころ
- 仁徳天皇陵古墳・堺市博物館・さかい利晶の杜
- 名物
- 堺打刃物・線香・和菓子
- あわせて
- 大阪城・道頓堀と