石川県・工芸

金沢で出会う、手わざの美。金箔・九谷焼・加賀友禅をめぐる

加賀百万石の城下町・金沢。戦火をまぬがれ、藩政期からの町並みと文化が色濃く残るこの街は、日本でも指折りの「工芸のまち」です。藩が学問と芸術を手厚く奨励した歴史が、優れた職人を育て、暮らしの中に美を根づかせました。金箔の輝き、九谷焼の絵付け、加賀友禅の彩り——手のひらサイズの美に出会う旅へ、ご案内します。使う喜び、見る喜びにあふれた、金沢の手わざの世界です。

金箔|日本の金箔、ほぼすべてが金沢から

国内で生産される金箔の、実に99%以上が金沢製です。1万分の1ミリほどの薄さまで打ち延ばされた金箔は、息を吹きかけただけで舞い上がるほど繊細。その製造には、金沢の気候風土が適しているとされます。金箔を貼る体験ができる工房も多く、小箱やお箸、お皿に自分で箔を施せば、世界にひとつの土産になります。きらびやかな金箔ソフトクリームや、金箔入りの化粧品なども、金沢ならではのお楽しみです。

九谷焼と加賀友禅|彩りの、手しごと

五彩(赤・黄・緑・紫・紺青)を用いた、華やかな絵付けが特徴の九谷焼。力強く描き込まれた古九谷から、繊細で愛らしい現代作家のうつわまで、その表情は実に多彩です。窯元やギャラリーをめぐり、手にしっくりくる一客を探す時間は、金沢ならではの贅沢。また、京友禅と並び称される加賀友禅は、写実的な草花の文様と、外側を濃く、内側を淡く染める「外ぼかし」が魅力。あえて虫食いの葉を描くなど、自然をありのままに映す美意識が息づいています。

暮らしに息づく、工芸の心

金沢の工芸は、美術館の中だけのものではありません。茶碗に、菓子に、着物に——日々の暮らしの中で使われ、生きています。能登へ足を延ばせば、堅牢で美しい輪島塗の世界も。幾重にも塗り重ねられた漆器は、使うほどに艶を増す「育てる器」です。兼六園や金沢の食とあわせて、手しごとの温もりに包まれる旅を。長く付き合える一品との出会いが、きっと待っています。

加賀百万石が育てた、工芸文化

金沢にこれほど多彩な工芸が花開いたのには、加賀百万石の歴史があります。江戸時代、加賀藩の前田家は、幕府から警戒されるのを避けるため、軍事ではなく文化や芸術に力を注ぐ方針をとりました。全国から優れた職人を招き、手厚く保護・育成したことで、金箔や九谷焼、加賀友禅、漆器、象嵌(ぞうがん)といった、ありとあらゆる工芸が高度に発展したのです。戦火をまぬがれ、藩政期からの町並みと文化が色濃く残ることも、金沢が今も「工芸のまち」であり続ける理由です。藩の文化政策が、暮らしのなかに美を根づかせたのです。

金沢では、これらの工芸を見るだけでなく、金箔貼りや九谷焼の絵付けなど、体験できる工房も数多くあります。職人の手つきに触れながら、自分だけの一品を作る時間は格別。豆皿や箔の小物、友禅の手ぬぐいなど、少額から暮らしに取り入れられる品も豊富です。兼六園や金沢の食、近江町市場とあわせて、手しごとの温もりに包まれる金沢の旅を、ぜひ楽しんでください。

旅のメモ

エリア
石川県金沢市(ひがし茶屋街・長町など)/能登・輪島
体験
金箔貼り・九谷焼の絵付け体験ができる工房多数
土産
豆皿・箔の小物・友禅の手ぬぐいなど少額から
あわせて
兼六園・金沢21世紀美術館と
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